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【炎樹×明里】

俳優・九神炎樹のゴシップは記事にならない。


「編集長ー!スクープですよスクープ!!」
「おっ、どんなやつだ!?」
「これですよこれ!見てください!」
「…ってお前これ九神炎樹じゃないか。ダメだダメだ、全然記事になりゃしねーよ。」
「なんでですか!?すごくよく撮れてるでしょう?」
「ばっか、業界人だけじゃなく一般人も知ってる有名な話だろうが。どうせこれだって打ち上げのワンシーンだろうが。」

なぜなら彼の熱烈な愛妻っぷりが、あまりにも有名すぎるからだ。

(拍手再録)

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【炎樹×明里】

そっと扉を開ける。
ただいまー…とひっそりと呟いて、静かに扉を閉めた。
開け放しにされたリビングのドアをくぐると、予想通りの光景があった。
妊婦が眠たくなるっていうのは本当らしい。
最近帰宅するとほぼ必ずと言っていいほど、彼の新妻は眠っていた。
室内は緩やかにクラシックが流れている。
普段は彼も妻も聞くことがない音楽。それは他でもない、まだお腹の中で眠っている新しい家族のためのものだった。

色々あった。偽物の関係、引き裂かれた2度目の恋、そして再会。
こんな風に穏やかな時を過ごせるなんて思わなかった。
二人でしわしわのおじいさんとおばあさんになって、今が過去になってしまっても、きっとずっと忘れないだろう。
いつまでもずっと、この優しい気持ちを忘れることはないだろう。

彼はそっと妻の頬にキスを落とした。


(拍手再録)

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【炎樹×明里】

ピンポーン!

「おわ!」
「おおー今日のゲート一人目はなんと九神炎樹さん!はいー、おしゃれさんは検査場へお願いしまーす!」
「マジかよ…。俺ブランドもんとか着てねーけどいいの?」

とある番組の芸能人ファッションチェックコーナーにて。
「九神さんっていっつも素敵な服着てますよねー」
「私もよくチェックしてますー。でも他で見たことないんですよ!」
「いやー、俺の服って大体一点ものだから。ある意味」
「そうなんですか!やっぱ大物は違いますね。」
「今日の服もかなりいい感じですよね。このジャケットとかめっちゃかっこよくないですか!ちなみにどこで買ってるんですか?」
「つーかこれ…うちの奥さんの手作りなんだけど」
「「「えええぇー!マジですか!!すご!」」」
「え、奥さん服飾関係の方でしたっけ?」
「いんや、ふつうの主婦」
「すごすぎる…。このジャケット売られてたら欲しいですもん!」
「もしかして他の服もですか?」
「あーっと下着と靴はさすがに違うけど、このパンツと帽子とシャツは奥さん作」
「すっごーい…ほんとに。ブランドとか立ちあげられますよ」
「いやいや…俺専用だからダメー」
「…ごちそうさまです!」
「帽子もめっちゃかわいいですー。私も欲しい〜〜!」
「だからダメだって」
「ちぇー。じゃ、今度は持ち物チェックいっちゃいましょー!」
「えー!荷物までチェックされんのかよ。俺怒られそうなもん入れてなかったよな…」
「バックの中は…えーっとお財布とー、キーホルダーとー」
「財布分厚いです!でもこの財布かっこいいし使いやすそうですねー。どこで買ったんですか?」
「あ、これも明里…あ、奥さんな、の手作り」
「えーーー!」
「奥さん多才すぎるでしょ!財布なんてそうそう作れませんよ」
「俺の持ち物ほとんどそうだぜ。このバックもだし」
「九神さんってほとんど奥さんプロデュースって感じですね…。メイド バイ 嫁?」
「あっはは。でもほんと最近はそーかも。家にいると暇だからって色んなもん作ってるぜ。編み物、料理、お菓子作りに…この前からはシルバーアクセサリーまで始めたみてーだし」
「それもはや一般人じゃないですって」
「そんな奥さん俺も欲しいっすよー」
「あ、これはもしやお弁当!?」
「あ、そうそう」
「九神さんって奥さんの手作り弁当持ち込みってほんとだったんですねー!」
「中身チェックもしちゃいましょ!」
「ってかこれ、ほんとに奥さん作っすか?ちょ、これ鉄人っすよ!」
「え、うわ、ほんとだ!めっちゃおいしそう!」
「ちょ、バッカ、マジで食うなよ!」
「ああああー・・・いいじゃないですか、ちょっとくらい」
「ダーメー。これ俺のだから。んじゃもう行くからな!」
「えー!まだ十分見てないのに!」
「これ以上やると奥さんに怒られっからさー。じゃー頑張れよ!」


この放映後、明里のところにスカウトの話が舞い込んできたことは言うまでもない。
もちろん、夫への鉄槌が下ったことも。


(10.05.08)


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【明里ずきんちゃん】炎樹×明里 (下ネタ注意)

「おばあさん、おばあさん。おばあさんのお耳はどうしてそんなに大きいの?」
「それはね、お前の声をよく聞くためだよ」

「おばあさん、おばあさん。おばあさんのおめめはどうしてそんなに大きいの?」
「それはね、お前のかわいい顔をよーく見るためだよ」

「そっかぁ、そうだったのね」
「そうだったんだよ」

「……」
「………」

「あ、あの。おばあさん、どうしてそんなに近いの…?
しかもあの、おばあさんのあそこもどうしてそんなに大きくなっているの…!?」

「それはね。
お前を食べちゃうためだよ〜!」


…そうして明里ずきんちゃんは、おばあさん、もといオオカミさんに美味しく美味しく頂かれてしまったのでした。

(日記ネタ再録)

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【炎樹×明里】

画面が暗転し、音楽が流れる。
エンドロールだ。
映画の終わりは、私を寂しい気持ちにさせる。
だからこれまでずっと、エンドロールは切ない気持ちで見ていた。

でも今は違う。
エンドロールの後、あちこちから聞こえる「かっこよかったねー」っていう声。
それを聞くのが今の私の楽しみなのだ。
その人は私の旦那様なのよ、って叫んでしまいたい。

さあ、愛しい旦那様にはこれから何てメールしようか。
『愛してる』、『誰より格好よかった』、『意地悪な顔に痺れました』?
どれにしよう?全部入れちゃってもいいかもしれない。結局、今日も長いメールになりそうだ。
なんて、色々考えながら私は軽やかに階段を駆け下りた。

(08.05.01)

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【炎樹×明里&】

「お、今年も来てる来てる。」

元旦。
まず年が変わった瞬間に周りの人にまず明けましておめでとう、今年もよろしく、と毎年代わり映えのしない挨拶。
時には夜中のうちに人がごった返す初詣に行くこともある。それからだらだらと昼前まで寝る。
起きたら顔を洗って歯を磨いてご飯を食べて。
次にすることがこれだ。
元旦の楽しみ。

分厚い葉書の束。
そう、年賀状。

「今年も大量大量、っと。
えーっと、お、絢子からも来てる。それから…」

1枚だけ混じる、エアメール。
「明里からだなー。……って、またこれか」
毎年見慣れた年賀状。
「たまには違う内容にすればいいのにーって、これはこれですごいんだけど、かなり」
彼女からの年賀状はかれこれ10年ほど、この内容しか見ていない。
「ま、幸せそうでよきかなよきかな」

毎年一人ずつ増えるその写真の下には
“新しい家族が増えました”

(08.01.01)

投票、幸せ大家族の続きを、というリクより。

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