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【華原×ヒトミ】リクエスト企画作品
朝起きたら シュタインよりも先に顔が浮かぶ。ちょっとはねてる髪が可愛いよななんて妄想して。
顔を洗いながら もう起きたかなと思う。もしかしたら今日もシュタインに起こされてるかも。
シュタインに餌をやりながら 今頃弁当を作っている頃かなと思う。今日のおかずはなんだろう。
おかずをお弁当箱に詰めながら 今日はどこで一緒に食べようかなと思う。天気がいいから屋上かな。
玄関の前で 早く降りてこないかなと思う。できればあの厄介な人より先に。
通学路を歩きながら 手を繋いでいいかななんて思って、手を出したり引っ込めたりしてみる。
くつ箱で なんでクラスが分かれたんだろうと思う。ひと時だって離れていたくないのに。
廊下で 後ろを振り返って階段を上っていく背中を追う。校舎さえ離れているなんて呪われてるとしか思えない。
1時間目 右から左へと教師の言葉を聞き流しながら窓の外を見る。体育らしい。あ、周りのやつらじろじろ見るんじゃねーよ。
3時間目は家庭科 カップケーキを焼きながら、ちょっと嫉妬する。この中の何人が持っていくんだろう。
昼休み 女子の群れを掻き分けながら、たった一つをゲットする。他のやつのなんかいらないよ。
予鈴がなって 空っぽのお弁当箱はやっぱり嬉しい。少し冷たい風だって気にならない。
6時間目 もうかばんの中に持ち物全部詰めてある。引退した今、放課後は全部あいつとの時間。
帰り道 いつも少し遠回り。絡めとられた右手が嬉しい。
エレベーター前 乗りたくないっていつも思う。いつまでもこの手を離したくないって。
ドアの前 いつものように夕飯を持っていく。同じ家でご飯を食べる日が早く来ればいいのに。
風呂上り 早く寝てしまおうと思う。そしたら早く時間が過ぎて、早くお前に会えるから。
お兄ちゃんにおやすみを言って 口の中でもう一度呟く。それは彼に向けてのおやすみの言葉。
眠りにつきながら 今日も笑い会えた幸せをかみ締める。
あなたの夢を思い描く。
そして
君で あなたで いっぱいの明日が来るのを待っている。
(06.10.13)
綾瀬なつさんリクエスト
ED後
【華原×ヒトミ】リクエスト企画作品
ずっと自分は淡白な性質なんだと思ってた。
「……雅紀くん、顔怖いよ?」
膝にシュタインを乗せ、頭を撫でながらヒトミが話しかけてくる。
一緒にご飯を食べて、まったりしている最中に突然むすっとした顔になられても、原因が分からない。
だからヒトミの疑問はなんらおかしなものではなかったはずなのに。
「悪かったな。怖い顔の彼氏で。」
「もー、そんなこと言ってないじゃない。私何かした?」
何かしたかだって?しまくりだよ。
昨日会えないっていうから会いたくても我慢してたっていうのに、今日になって聞いてみたら昨日は大学の新入生歓迎飲みに行ってたとか言う。
それならそうと先に言えよ。
新入生歓迎なんていえば聞こえはいいけど、結局はあれは合コンみたいなもんなんだぞ?
先輩が新入生に目をつけ、新入生同士が物色しあう。
そんなとこに知らないうちに行くなよ。知ってたら行くなって言ってたし、行ったとしても俺が迎えに行って牽制したのに。
大体今日だって何の授業に出たかと聞けば理系の科目。
理系の科目といえば男が多いし、実際前後は男だったと言う。
まあ隣は友達が座ってるとしても、そいつらお前狙いに決まってる。
それだけじゃない。
部活の勧誘はありえないくらいチラシもらってるし、こっそりチラシに携帯番号書いてるやつまでいる。
もちろんそんなやつはヒトミが気がつく前に俺が破り捨ててやったけどね。
そもそも高校時代から警戒心薄すぎなんだよ。
だから一之瀬さんも神城さんも颯大も剣之助もいまだに電話だの偶然を装った出会いだの仕掛けてくるんじゃないか。
まあ携帯の不在着信や家電の留守録はヒトミが見る前に俺がこっそり消してるけど?
犯罪?そんなことはどうでもいいよ。ヒトミは俺のものなんだから。
愛想つかされる?はは、俺が見つかるなんてそんなヘマするわけないだろ?
まあ言いだしたらキリないくらいだね。
はあ。それにしても俺がこんなに嫉妬深いとは知らなかったな。
ヒトミといると新しい発見ばかりで驚くよ、ホント。
というわけで、どんなにいやだって言ってももう離してやる気なんてサラサラないから。
「…ま、雅紀くん?」
「ん?何?」
「あ、あの、なんか壁際に追い詰められてる気がするのは気のせい?」
「んー、どうかな?気のせいじゃあないかもね。」
「あ、あのあの。…ごめんね?」
「…何か分からないのに謝ってるだろ。」
「だってほんとに分からない…!」
「ふーん、やっぱ分かんないんだ。…いいよ、これから教えてあげる。」
「ほ、ほんと?」
「ああ、もちろん。…ベッドの中でゆっくりとね。」
「……!?」
ホント、自分がこんなに独占欲強いなんて、知らなかったな。
(06.10.31)
竹石レオンさんリクエスト
恋愛ED後のマッキーの嫉妬
【雅紀×ひとみ】
二人で帰り道を歩くのはもう何度目だろう。
二人並んで手をつないで。
今日は寒い。肌を刺すような冷気を含んだ風が、二人の間を通り過ぎるから。もうこれ以上は無理だという距離まで近づけた。
何気ないことを話すけれど、胸の奥底では近づいてくる受験と、それから少しの別れが渦巻いている。
それはお互い気づいているけれど、触れない。
思わずそっと力をこめると少し笑ってもっと強い力で握り返してくれる。
そんな風に甘やかすから。
だからもっと離れたくなくて。
手が冷たい人は心が温かいって本当かもしれない。
つないだ手は感覚がないくらい冷え切っているけれど、雅紀君が誰よりも優しいことを私は知っている。
そのことを、私だけが知っていればいいのに、と思う。
雅紀君の人間不信がなおる日を祈りながらも心のどこかで、私だけであればいいと、思う。
こんなずるい私を、きっと雅紀君は知っているんだろう。
そう思うと、つないだ手がなぜだか切なくて苦しくて俯いた。
本当は、いつかまた他の子と同じようにどうでもいい存在になるんじゃないかと怯えている。
今は優しい瞳が、冷たく凍ることを恐れている。
はらはらと舞い落ちる雪を、いつもならただ綺麗だと思うのに。
降る時は真っ白なのに、いずれ灰色に汚れて道の隅で見向きもされなくなる雪のように。
いつまでも白いままでいられない自分が悲しかった。
(綺麗なばかりじゃいられません。)
【雅紀×ひとみ】
がた、と机が音を立てる。
けれどもう廊下を走り去る音も、グラウンドの喧騒も、甲高い話し声も私を通り過ぎてゆく。
触れる唇だけが熱い。
息が絡まるその距離が、私の焦燥と畏怖と欲情を見抜く。
心が 震える。
あなたのその眼が私を女にする。
(そこはかと無いエロを意識してみました。)
【誰か×ひとみ】
「ねえねえ、もうどっちか分かるんだって!聞きたい?」
「もう分かるのか?そうだな…。」
「どうする?名前とか考えたりベビー用品そろえるのに聞いといたほうがいいかな?」
「…いや!やっぱそれは生まれてからのお楽しみがいいんじゃないか?」
「そうだよね!どっちだろうなあ〜。」
ってそんな風に言ったけれど、二人してエコー写真を穴が開くほど見つめてしまった。
(お相手は誰でも好きな方を想像してください。)
【剣之助×ひとみ&】
パパのてはまほうのて。
ケーキだってプリンだってパパのてからうまれるんだ。
ふわふわのスポンジもまっしろなクリームもママのおたんじょうびをいわうんだ。
パパがぎゅっとするとママはあかくなってでもとってもうれしそう。
わたしのこともママのこともえがおにするパパのてがだいすきです。
わたしのあたまをぐしゃぐしゃってするおおきなてがだいすきです。
ママのてもまほうのて。
わたしのかみのけをくるくるってしてくれる。
みつあみだっておだんごだってかわいいリボンでしてくれる。
パパもママとてをつなぐときおかおがとろんってなる。
わたしのこともパパのこともつつんでくれるママのてがだいすきです。
わたしのことをだっこしてくれるあったかいてがだいすきです。
(一番家族ネタが似合うのは若だと思ってます。たぶん家族ネタ増殖。)
【雅紀(×ひとみ)VS鷹士】
カコンッカコンッカコンッカコンッ
まさに目にもとまらぬ速さで球が左右を移動する。
最初は目で追っていたが、到底追いきれないということに気付いてからは半ば呆れたような面持ちで2人のプレイヤーを見つめていた。
冬。二人で温泉にでも行こうと計画を立てていた。
しかし二人っきりで旅行に来るなら、もっと入念にしておくべきだった。・・・鷹士対策を。
どこから情報を仕入れたのか、宿に到着した二人を待っていたのは美人女将ではなく、やけに爽やかな鷹士の笑顔だった。
その笑顔の裏に気付いたのはもちろん雅紀だけだったが。
そうして現在に至る。
用意周到に、二人の隣の部屋を取っていた鷹士のせいで、二人っきりでゆっくりすることも出来ない。
雅紀としてはこの青少年の欲望をどうしてくれる!という感じである。
ひとみのほうはというと、残念には思っているようだが、優しい彼女は兄のことを無下にすることも出来ず。
邪魔をする鷹士と迎え撃つ雅紀で、卓球温泉を始めてからすでに30分。
どちらも一歩も引かず、ものすごいラリーが続いていた。
「そろそろギブアップしたらどうだ?雅紀。」
「そういう鷹士さんこそ、そろそろ辛いんじゃないですか?やっぱ若い分俺のほうが体力あるみたいですよ。」
「馬鹿言うな。お前こそ額に汗が滲んでいるようだが。」
「これくらい準備運動程度ですよ。おや?鷹士さん腕がプルプルしてますよ?」
喋りながらも手は休めない。
いつの間にやらギャラリーまでできている。
ひとみの小さな口から、はふ、とあくびが漏れた。温泉にも入ったし、そろそろ眠たくなってきた。
「雅紀くん、先に部屋に戻っておくね。二人とも、キリのいいところでやめて早く寝てね。」
パタパタとスリッパの音をさせて部屋に戻っていく。
その後姿を横目で見ながら二人は。
「鷹士さん、いい加減負けを認めたらどうですか。」
「俺が負けるわけないだろう?それに雅紀、お前を部屋に戻らせることは出来ないな。」
「へえ・・・。意地でも早く決着つけさせてもらいますよ。」
互いに冷ややかな笑みを浮かべて。
まだまだ二人の戦いはこれから。
(いろんな意味で戦いはこれからなのです)
【剣之助×ひとみ&】
ころころりとした背中を見つめる。
ぷくぷくむちむちした手を精一杯伸ばして、一生懸命靴を履こうとしている。
一歩踏み出すたびにピョッピョッと鳴くそのピンク色の小さな靴は、おじいちゃんに買ってもらった、最近の一番のお気に入りだ。
まだひとりで靴を履くのに慣れていないから、上手く履けなくて、ごろんと転がってみたりちょっと泣きそうになってみたりと忙しい。
たっぷり5分以上かかって、ようやく両方の足にピンク色がはまっていた。
「ママ、はけたよ!」
と顔中笑顔にして振り向いた我が子を抱き締めて思いっきり褒めてあげる。
そうしてまくれてパンツが見えてしまっているスカートを直して、これまたおじいちゃんに買ってもらったクマのリュックを背中に背負わせた。
「もう準備できたか?」
できた頃を見計らったかのように、奥から車のキーをくるくると人差し指で回しながら剣之助が出てきた。
頷こうとすると、その私の横をピョピョッという音がすり抜けていく。
「こーら。靴履いたまま上がったらダメだろう?」
そう言って愛娘をひょいと抱き上げて、そのまま自分も靴を履く。
生まれる前からそうじゃないかなあと思っていたけど、やっぱり剣之助は子煩悩だった。
娘のかわいがりようは私がちょっと妬いてしまうくらい。
「ひとみ、行くぞ?」
少しむくれている私に、もう玄関から外に出ている剣之助が声をかけてきた。
腕に収まっている娘も小さな手をぶんぶん振っている。
はっと我に返って急いで出て行くと、そんな私に気付いていたのか、ちゅっと額に唇が落ちてきた。
……しっかり娘の目は覆って。
(組長は孫娘溺愛)