Mermaid Prism White Prince
→Back
【純×瞳+紅蓮】(現代ED後)
「あ。」
ふと見たテレビの天気予報。
それは姉の修学旅行先が大雨であることを示していた。
ここは晴れているが、向こうは荒れた天気なのだろう。
綺麗なリポーターが、雷も発生するかもしれないと告げている。
「あいつ、大丈夫かな…。」
黄金色の閃光にいつもおびえていた姉。
その姿を思い出して少し眉をひそめたが、すぐに一つの存在に思い至った。
「あいつがいるから平気か。」
…きっと今頃、同級生のあの彼になだめられているのだろう。
意地悪なんだよと頬を膨らませて姉は言っていたが、互いに深く思いあっているのを知っている。
姉に対してだけ優しく細められる目を思い出して少し胸がうずいたが、知らない振りをした。
「俺もお役御免かな。」
ほんの少し寂しいと思うのは、きっと気のせいだと言い聞かせて、テレビの電源を切った。
(06.12.11)
【純×瞳】(現代ED後)
「あ、結婚線が二本ある。」
「あ?何だって?」
突然手を握ってじろじろと眺める妻の目的は、手相占いだったらしい。
「ほら、これが結婚線なんだよ。二本ある…。むぅ…、誰と浮気する気ですか?」
「はあ?するわけないだろう!…お前も見せてみろよ。
…あ、お前も二本ある。」
「え?あ、ホントだ。」
「…瞳こそ、誰と浮気する気だ?」
「しないもん!私は純くんだけだもん!」
息巻いて、そう言い放つ瞳に、頬が熱くなる。
こいつは今熱烈な告白をしたことに気がついてるのか?…絶対気づいてないな、これは。
2度目の結婚後も、ずっと振り回されてばっかりだ。
「…あ、もしかして。」
ひらめいて、そっと瞳の手をとった。
「やっぱりな。」
そうして見た皺は、二人同じ位置にあって。
「え?なになに?」
気づかない瞳は、大きな目で俺を見上げた。
「結局俺たちはずっと一緒ってことだよ。」
…占いも、案外バカにできないな、なんて珍しく思った。
(06.12.11)
【純×瞳】(現代ED後)
我慢できなくなって、本棚の影で交わしたキス。
…もう今日は、受験勉強なんてできそうにない。
(06.12.2)
図書室にて。
高いところにある本をとろうと頑張っていた瞳の後ろから本をとってあげて、我慢できなくなった白の王子。
身長差萌えです。
【純×瞳】(現代ED後)
ほぅ。と息をつくと、白い空気が瞳の前で踊った。
それはまるで海の中の泡のようで、あの白い国を思い出させた。
「さむいねぇ。」
「そうだなぁ。」
すっかり冬になった。
男のくせに少し冷え性気味の俺は瞳の手を少し強く握った。
もうすぐ母親になろうというのに子どもっぽさが抜けない瞳は、手も子ども体温だ。
そういえば彼女の弟が、子どもが子ども産むのかよ、と言って、瞳に殴られていたっけ。
「ヴァイツもさむかったねぇ。」
「そうだなぁ。」
寒い寒いと言いながらも、冷たい俺の手を離そうとはしない。
転ばないように、と理由をつけて繋ぎ続ける手を、俺も離すことはない。
次第に体温は溶け合って、二人同じ温度になった。
「この子、冬生まれだねぇ。」
「そうだなぁ。」
まあるくなった腹をゆっくりゆっくり撫でながら、彼女が呟く。
また呼吸は白く浮いて、空気に溶けていった。
「きっと運命だねぇ。」
「そうだなぁ。」
きゅっと手を握り返しながら、彼女が微笑んだ。
少し赤くなった頬と小さな鼻の頭が愛おしい。
ひんやりとした額に一つキスを落とすと、彼女はくすぐったそうに首をすくめてころころと笑った。
大きくなったお腹を抱きしめながら、ほたほたと歩く彼女の手を引いて。
二人、白い景色の中を歩いた。
(06.11.26)
この二人はほのぼの〜とした恋愛な気がする。
同じ歩調で歩いて、同じ目線の高さで物事を見る感じ。
愛情もおんなじくらいの重さかなというイメージ。
【純×瞳】(現代ED後)
幼い体温を抱きしめる。
暖かい体が、彼女が眠りの淵に落ちようとしていることを教えてくれた。
彼女はあの日をまだ忘れられない。
眠れぬ彼女を抱きしめるたびに、眠りの中で頬を流れる涙を見るたびに、自分の罪を思い出す。
けれどその一方で、それを喜んでいる黒い感情が蠢いている。
ある夜、喉の渇きで目が覚めて、一人台所へ向かった。
そうしてベッドに戻る時、必死に自分を呼ぶ声を聞いた。
その声に急かされて寝室に入ると、泣きじゃくりながら瞳が腕に飛び込んできて
俺の背に手を回して必死にしがみついた。
小さな頭を俺の胸に強く押し付けながら、どこにもいかないで、と掠れる声で言った瞳はひどく震えていて、
薄い肩は、力をこめて抱きしめると軋んでしまいそうだった。
ああ。軽率だった。
ああ。瞳はこれほどに俺のことを求めている。
二つの感情が胸に去来する。
本当にひどい男だ。
深く傷つけただけでなく、その傷跡によって、愛を量ろうとするなんて。
その日から、けして夜離れることはなくなった。
けれどその涙に、彼女の深い愛情が見える気がして、
罪悪感に胸が締め付けられる一方で、俺は、ひどく満たされている。
(06.11.26)
下の作品とリンク。
私のシリアス作品…。び、ビミョー。やっぱギャグのほうがいい気がする。
少しでも切なくなっていただければうれしいです。
【純×瞳】(現代ED後)
・・・どこ・・・・?
どこにいるの・・・・・・?
ねえ
おねがいへんじをして
わたしを、ひとりにしないで
はっ、と目が覚めた。
頬には幾筋も涙のあとが残っていてひんやりとし、枕はしっとりと濡れている。
闇の中で、まだ歪んでよく見えない目を凝らして、すぐ傍で静かな寝息をたてる人を確かめた。
いた。
よかった。
どこにもいってない。
手を伸ばして触れる。
髪を。頬を。唇を。
今この瞬間に消えてしまわないでと、強く願った。
初めのうちは隣で眠るのさえ怖かった。
目覚めたとき、隣に誰もいなかったら。
そう思うと、ずっとずっと起きていて、彼が消えてしまわないか見ていたかった。
二人一緒に時を重ねて、幾度もそうして確かめて、それからようやく眠れるようになったけれど。
週に一度は、今でもこうして目が覚める。
あの恐怖を、芯から体が冷えていくあの感覚を、今も忘れることはない。
いかないで
そばにいて
そっと静かに抱きしめてくれる体温に、幼い子どものように縋りついて
私はあなたの隣で眠るのです。
(06.11.25)
きっと瞳ちゃんはトラウマというか、眠る時とか目が覚めるときとかが怖いと思う。
勝手にいなくなるってひどい。
【純×瞳】(現代ED後)
よくよく見てみれば。
いや、よく見なくてもだが、
競泳用水着は非常に危険なデザインをしている。
いや、往々にして水着というものは布地の少ないもので、いまや海ではビキニのほうが幅を利かせている。
だから競泳用水着が特にどうこうということはないはずなのだが
それが自分の彼女が着ているとなれば話はまったく別なのである。
『くそっ…、1年見てんじゃねーよ!あっ、あいつ絶対今瞳のこと見たな。
…キャプテンになった暁には瞳のことじろじろ見たやつは絶対しごいてやる!』
職権乱用もいいところであるが、それは実際1年後にきっちり行われることとなった。
しかし彼が猛練習の末キャプテンになったのが、まさかこんなことのためであるということは誰も知らなかったのである。
(06.11.23)
ナイスバデーの女の子は大好きです。
【ジュン×ルイ】下ネタ含む
最近ミーアからこちらの第二王子に嫁がれた姫君は大変かわいらしい方でいらっしゃいます。
わたくしは恐れ多くも、姫様つきの侍女に任命されました。
こんなにかわいい姫様にお仕えできるなんて、わたくしはとても幸せ者でございます。
誠心誠意、お仕えしたいと思っております。
王子も姫様も大変お互いのことを好いていらっしゃるようです。
政略結婚の際には悲しみにくれる方もいらっしゃるということですが、このお二人にとってはこの結婚は幸せなものであったようです。
しかし王子と姫様はまだ結婚したてのせいか、大変初々しくていらっしゃいます。
王子がお仕事の間にはわたくしがお相手をさせていただくこともあるのですが、最近姫様はお料理を習いたいと思っていらっしゃるようでございます。
何でも姫様が以前作られたものを召し上がられて、王子は大変嫌なお顔をされたのだとか。
私の姫様をそんなに悲しませるなんて、王子はなんと罪なお方なのでしょう。
このように悲しむ姫様をほうっておけるでしょうか。いいえ、そんなことが出来る方は鬼です。悪魔としか思えませんわ。
とりあえず料理の練習をしてみましたが…。
…出来については言及しないことにいたしましょう。
人魚誰しも、全く得意でない分野というものがあるものでございます。
それならば王子が姫の手料理を食べられるようになればよいのです。
ということで、耐性をつけるために毎日こっそり少量の毒を王子の料理にしのばせることにいたしました。
もちろん殺害が目的ではありませんので、致死量を入れたりはいたしませんよ?
…まあ、初日は少し分量をまちがえてしまい、次の日王子はトイレとお友達だったようですが。
それもこれも姫様のためです。
姫様を愛するならこれも試練と思って受け入れなければならないのですよ?
そんなある日、わたくしは姫様が王子の枕をいじっているのを見つけました。
このお二人はまだまだ恥ずかしいのか、特大のベッドがあるというのに別々に寝ていらっしゃるようなのです。
何をしていらっしゃるのですかとわたくしが尋ねますと、姫様は頬を赤く染められて、
「枕の下に写真を入れると、その人の夢が見られるんだって。だから…。」
とおっしゃいました。
しゃしん、というものは陸で普及している絵画のようなものだとお聞きしております。
見れば姫様が枕の下に入れようとしていたのはかわいらしく微笑む姫様自身のしゃしん、というものでした。
まあまあ、なんとおかわいらしいのでしょう。
内緒にしてねと姫様がおっしゃるので、もちろん内緒にいたしましたとも。
けれどわたくしは姫様と王子のお子を早く抱きたいのです。
ですからこっそりわたくしも王子の枕の下にしのばせておきました。
…まぐわいの場面を。
まあ、人魚の世界にはしゃしん、というものはございませんので、わたくし作の絵画でございますが。
あのような絵を描くだなんて大変恥ずかしゅうございましたが、これも全ては姫様のため。
同人誌を作っていた絵画を練習していた腕がこんなところで役に立つとは思いもよりませんでしたわ。次の日から王子が姫を見るときには大変顔を赤くされていたので、きっとわたくしの作戦は成功したのだと思いますわ。
お子をこの手に抱ける日も遠くないかもしれません。
そんな感じでわたくしの1日は過ぎていくのです。
また明日もおかわいらしい姫様のために
王子に何を仕掛けようかと企み何が出来るでしょうかと考えながら、眠りにつくのです。
『ある侍女の日記より』
(06.11.21)
ジュン、ごめんね。私にはこんなぶっ飛んだネタしか思いつかないよ(笑)!
どのキャラもらぶらぶあまあまというのは全く書けそうにありません。
ラブラブなお話は他のサイト様にお任せしちゃおうかな(図々しい)!
【純×瞳】(現代ED後)
「あ、ねえ、水中結婚式だって。すごいよねー。
ちょっとこういうの憧れちゃうわあ。」
テレビでちょうど放送されていた水中結婚式の様子。
ママ友達の家に遊びに来ていた私は何気なく言葉を発した。
「あ、ほんとだ。懐かしいな〜。あの時はハンスやメイ姉さんもいて…。
でも人間だと大変だよね。なんかいっぱい背負わないといけないし。
それにドレスとか着れないからちょっと味気ないよね。」
ほぎゃあああ。
「あ、はいはーい、おむつはさっき変えたからおっぱいかな?」
…なんか色々不思議な言葉が聞こえたような気がしましたが、
きっと空耳だったんだと思います。
生まれて間もない赤ちゃんを抱く友人の背を見ながら、私はそう自分に言い聞かせました。
(06.11.16)
このお友達はもちろん茜ちゃんではありません。
水中結婚式と普通の結婚式と2回できるなんてお得感いっぱいですね!
【ジュン+ルイ】
「ねえ」
「なんだ?」
「こんなに寒いのに、この格好ってありえなくない?」
「実は俺も思ってた。」
「さーーーむーーーーいーーーーー!!」
「寒い!寒いよ、雪草くん!」
「俺だって寒いよ!しかも俺なんてずっとここにいるんだぞ!?」
「もっと服着ようよー。」
「服なんか売ってないじゃんか。大体海の中で陸のような繊維でできた服じゃ水吸って重くなるだろうしな…。」
「でもなんか防寒しようよー。こんな鳥肌状態でこの露出は意味が分からないよ。」
「仕方ないな。じゃあお前これ巻いとけ。」
「…なあにこれ?」
「昆布」
「やーーーーだーーーーー!」
「お前わがままだな!」
(06.11.16)
寒いのによくあんな格好でいられるな。
冬に下着姿なんて耐えられない!