Mermaid Prism White Prince
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【純×瞳】(現代ED後)
……彼女が頑なにクッキーだと主張するそれ。
黒い、限りなく漆黒に見えるのは、チョコ味だからだと思いたい。
「召し上がれv」
かわいい彼女のお願いに、俺は死の淵へと踏み出してしまった。
(07.02.03)
以前のカレー事件で食べなきゃ拗ねるということが分かったので、彼は頑張りました。
気持ちバレンタインネタで!(そんな無理やり)
【ジュン×ルイ&】(捏造BAD後)
コンコン。
美しい装飾のなされた扉をノックする。
その部屋はこの城の中で最も奥まった場所にあり、最も位の高いものが仕事をする場所であった。
「母様!」
ぱあっと花開くように笑顔になったのはまだ年端もいかない少年。
母様と呼ばれた女が部屋に入ると同時に、その大きな瞳を輝かせ、尾をひらめかせて傍にやってきた。少年の瞳と尾は、父親譲りの美しい紫であった。
「そろそろ疲れたでしょう?お茶を用意したから、少し休憩しましょう。」
少年とおそろいの眩い金の髪を持つ女は、そう言って少年の手を引いた。
深い海の中にある人魚の国、ヴァイツ。
1年中寒いその国は、8年前の魔族の侵攻により当時の王と第1王子が失われ、大きく国力を削られることとなった。
8年が過ぎた今でも多くの民を失った傷跡は癒えず、暮らしは決して豊かなものではない。
けれど豊かとは言えずとも穏やかな暮らしを送れることに感謝しながら皆生きていた。
これほどまでに復興が遅れたのは、やはり国を支える王の不在と力の不足が大きな理由であった。
この世界では王のいない国は衰退の一途をたどる。
王がいなければ国は成り立たないのである。
魔族の侵攻後、王の位を継いだのは前王の第2王子、先ほどの少年の父であった。
彼はほんの僅かな間だけ王位にあり、そしてある日突然いなくなってしまったのである。
その行方は、依然知れない。
このことは後世に残された文献でも謎のままであった。
こうして、あっという間に国の中枢が失われたヴァイツの人々は、国の滅亡を覚悟した。
王が失われた国は、まるで坂を転がり落ちるかのように急激に滅びの道をたどるのが常だからである。
けれどそれから一月たっても二月たってもその滅亡の予兆が見えないことに、人々は疑問を抱き始めていた。
王が生きているのではないか。
死んだ、ということを言ったのは他でもない王妃であった。
けれども彼女自身、それを確かめたわけではなかった。
本当はどこかで生きているのではないか。
彼女が誰よりも強く王の生存を望んでおり、また同じように王の生存に希望を見出したものが再び捜索を開始した。
けれどもやはり、見つからなかったのである。
絶望に打ちひしがれ、それでも国に衰退の兆しが見えないことに対して疑問を抱きながらさらに一月がたった頃、その理由が明らかとなった。
王妃の懐妊である。
王は王妃との間に、ヴァイツを継ぐ新しい命を残していたのであった。
「無理しないでね。少しずつ覚えればいいのよ。」
母はまだ幼い息子の金の髪をなでた。
現在政治の中枢にいるのは母親であった。
結婚後間もなく、若くして伴侶を亡くした彼女は、幾度も絶望しながらも愛する人の忘れ形見を精一杯愛し、そして国の中枢で働いている。
まだ王である少年は幼い。
生れ落ちた時から王と定められ、即位した息子に、豊かな少年時代を送らせてあげられないことを辛く思いながらも、彼女はできる限り息子に自由な時間をと苦心していた。
「ううん、僕、早く覚えて少しでもできるようになりたいんだ。それで母様と父様が愛したこの国を、もっともっとよくしたいんだ!」
「……っ!」
わずか7歳。
そんな小さな息子に国を負わせている罪悪感を感じながらも、それでもこみ上げてくる嬉しさを留めることはできなかった。
「母様どうしたの?僕、何かいけないこと言った?」
思わず流れた涙を隠そうと俯いた彼女を、慌てて覗き込んでくる紫色の瞳。
美しいその瞳に、同じ色を持ったあの人を思い出す。
「いいえ、そうではないの。とても…とても嬉しいのよ。」
…ねえ、どこかで見ていますか?
あなたと私の色を半分ずつ受け継いだ愛しい子は、こんなに素敵な子に育ちました。
あなたにも会わせてあげたかった。
長い長い生を終えていつかあなたの傍にいけたなら、美しく復興していくヴァイツの話を、そしてあなたと私の立派な息子の話を、きっとあなたに伝えるから。
だから、だから待っていて。
私が死んで、もう一度あなたと一緒に転生できる日まで。
(07.02.02)
捏造BADED後でした。
マメプリではソーマを作っても作らなくても結局ハッピーED?になるので、死んだままっていうのはないですよね。
ちょっと拍子抜け。投票で、子どもネタとBAD後に票が入っていたので突然思いついて書いてみました。
いや、投票してくださった方はこんな痛々しい子どもネタは期待していなかったと思いますけども。
しかもこの子、たった1度のチャンスでできています。
わあ!すごいぜ!
いや、
1回じゃなかったかもしれませんが。こういう淡々とした感じのお話も好きなのです。
こんな皆さんの意見を無視してしまった創作ですが、よかったら感想などお聞かせください。
【純×瞳】(現代ED後)
「うわっ。瞳なんだよその格好は!」
「え?…何か変?」
「変とか言う以前によく考えろよ!今真冬なんだぜ!?」
「うん。…だから?」
「…だから、その格好どう見たって寒すぎだ!!」
「えー…。そんなこと言ってもなあ。」
「瞳ー。純くんが迎えに来てくれたわよ!」
「あ、はーい!」
「ってあんたもかよ!」
「え?」
「さみーよ!二人とも見てて鳥肌立ってくるっつうの。」
「ぐっちゃんが私たちの格好見て寒そうだって。」
「そんなこと言ってもなあ。」
「うん。」
「何だよ。」
「ぐっちゃん、考えてもみてよ。だって私たちあの年中寒い海の中で半裸だったんだよ?」
「だよなあ。あれに慣れたらもう、なあ?」
「だよねえ。」
「(あの二人、今こんな格好で次の夏は耐えられんの?)」
とんでもなく季節を無視した格好をして頷き合って結局そのままの格好で出かけていった二人を見送りながら、紅蓮は大きな溜息をついたのだった。
(07.02.01)
【純×瞳】(現代ED後)
向こうでは一応これでも王子と姫、最終的には王と王妃だったわけだから、ほとんど料理なんかすることもなく。
…まあ、あんまりしてほしくなかったという直接言うには問題がありすぎることも理由だったわけなんだが。
「(こういうのもいいなあ。)」
キッチンでエプロンをつけて奮闘している新妻の後姿を見ながら思う。
あんまり必死で、新婚の夫が帰ってきたことにもまだ気づいてないらしい。
それをいいことにもうしばらく眺めさせてもらおう。
手つきが危なっかしくて、味付けが怪しそうで、つい口を出してしまいそうになるが黙っておく。
ああ、こんなに一生懸命だったんだな、と今更ながら気づかされて。
例えこの後に待ち受けるのがこの世のものとは思えぬ色合いの、悪臭を放つ人知を越えた食べ物であったとしても
今この瞬間だけは幸せなのであった。
(07.02.01)
【純×瞳】(現代ED後)
多分、昔から淡白な質だった。
特に女の子に興味なんてなかったし、人並みに彼女が欲しいとか思っていたけど、それほどがっついてもなかった。
中学の時に一応彼女がいたこともあったけど、キスもしないうちに別れた。
…あの不思議な世界に行くまでは、彼女のことを意識したことなどなかったのに。
俺本当にどうしちゃったんだろう。
握った手を頬を染めながら嬉しそうに見つめて、はにかむ彼女を見て
『めちゃくちゃかわいい』
と思うなんて。
(07.02.01)